クラスメイトたちが一人一人、不本意ながら掃除を始めると、馬場絵里菜と馬場依子は前後して教室を出た。
職員室のドアをノックすると、菅野將に机の前に呼ばれた。
「菅野先生」二人は軽く頭を下げて挨拶し、声を揃えて呼びかけた。
クラスで最も成績の良い二人の生徒を前に、菅野將の表情も柔らかくなり、口調も少し優しくなった。
「先生が二人だけを呼んだのは、話があるからだ」
馬場絵里菜は軽く頷き、真剣に聞く姿勢を示した。
馬場依子はさらに直接尋ねた。「先生、何のことですか?」
菅野將は微笑み、とても気軽な様子で言った。「君たちも覚えているだろうけど、前学期に学校代表として市のオリンピック数学コンテストに参加したよね?」
二人は頷いた。
菅野將はそれを見て、続けた。「当時先生が言ったことを覚えているかな。優秀な成績を収めた人は大学入試で加点されるだけでなく、学校の広報ビデオにも出演できるって」