第726章:彼女も出演するの?

しかも『交織の夜』というストーリーは彼女の最初のドラマよりずっと複雑で、葉山琴海というキャラクターは非常に内面的で、夏目沙耶香自身もあまり自信がなかった。

会社もこの点を考慮して、彼女に事前にオーディションを受けさせ、キャラクターの感覚を掴ませる必要があると考えたのだ。これがいわゆる「勤勉さで不器用さを補う」というものだ。

しかも沙耶香は決して不器用ではない。

「はい!」夏目沙耶香はあっさりと承諾した。

結局、最初から彼女は苦労する覚悟ができていたのだ。これは彼女が初めて主演を務める映画であり、他の誰のためでもなく、自分自身のために倍の努力をしなければならなかった。

橋本通が personally 沙耶香と豊田拓海をオフィスまで見送った。脇の壁には、なんと会社の所属タレントの写真が貼られており、沙耶香のアート写真が中央の位置に堂々と飾られていた。

夏目沙耶香は興味深げに足を止めた。写真の壁には十数人ほどの人物が写っており、どの顔も非常に見慣れないものだった。明らかに芸能界の新人たちだった。

橋本通はその様子を見て、ある男性の写真を指さして言った。「こちらが浅見満です。今年19歳で、東京大学の学生です。」

夏目沙耶香はそちらを見た。写真の男性は明るくハンサムで、タイプとしては林駆に少し似ていたが、おそらく彼らより少し年上であるためか、林駆よりも落ち着いて見えた。

ただ……

夏目沙耶香は突然思い出した。京都から戻ってきたその日、会社でこの男性に会ったことを。彼女はその時、橋本通の秘書である花音に尋ねて、相手の名前を教えてもらっていた。

今、写真を見て思い出したのだ。彼が浅見満だったのだ。

「これは以前、拓海に紹介しようとしていた新人ではないですか?」夏目沙耶香は直接尋ねた。

「そうだ、彼だよ!」橋本通は沙耶香を見て尋ねた。「どうして知っているんだ?」

「あの日、私たちが話を終えて、あなたのオフィスを出たとき、ちょうど彼に会ったんです。その時、後ろには何人かのアシスタントがついていましたよ。」夏目沙耶香は笑いながら言った。

橋本通はうなずき、そして豊田拓海の方を向いて言った。「拓海、見てくれよ、こんなに条件がいいのに、君が引き受けないのは本当に惜しいよ。」