第737章:おじさんが会計してあげる

特に細田仲男のカートには野菜や肉類が入っていて、これらのものは家の近くのスーパーで買うべきではないのだろうか?

しかし馬場絵里菜は細田仲男のことをあまり気にかけず、不思議に思いながらも口に出して聞くことはなかった。

一方、細田仲男は当然、馬場絵里菜のカートに山積みのお菓子を見て、思わず笑いながら言った。「どうしてこんなにたくさんのお菓子を買うの?」

「明日、学校で青森県に秋の遠足で数日行くの」馬場絵里菜はそっけなく答え、その口調には温かみがほとんど感じられなかった。

馬場絵里菜の目には、細田仲男が以前のように冷たい態度を取ってくれた方が、今のようなへつらった笑顔で接してくるよりもましだと思えた。

本心からなのかどうか、みんな心の中ではわかっている。彼が演じるのも疲れるし、自分が見るのも疲れる。

「絵里菜、私たちの番よ!」夏目沙耶香は馬場絵里菜の手を引いて、レジに近づいた。

細田仲男はそれを見て急いで追いかけた。「絵里菜、君は袋詰めをしていなさい。おじさんが会計するから」

馬場絵里菜:「……」

夏目沙耶香も少し驚いて、馬場絵里菜に視線を向け、おじさんに支払わせるのかと尋ねているようだった。

馬場絵里菜は内心うんざりしながらも、表面上はうなずいた。

大勢の人がいる中で、数百元のためにレジで細田仲男ともめるわけにはいかない。後ろにはまだたくさんの人が並んでいるのだから。

4つの大きな買い物袋がいっぱいになったが、すべてお菓子で、一番重いのは2つの懐中電灯だけだった。全部合わせても200〜300元程度で、今の物価はそれほど高くないのだ。

細田仲男が現金を出して支払うのを見て、馬場絵里菜はやはり一言「ありがとう、おじさん」と言った。

これは本当に奇跡だった。二つの人生で、細田仲男が馬場絵里菜にお金を使うのは初めてだった。普段、細田仲男から得られる恩恵といえば、お正月にもらえるお年玉くらいだった。

しかし、そのお年玉も伊藤春が出していて、細田仲男が知っているかどうかも定かではなかった。

「おじさんに遠慮することないよ」細田仲男は笑顔を浮かべ、さらに馬場絵里菜に言った。「こんなにたくさんの荷物、持って帰れる?おじさんが車で送ろうか?」