第738章:秋の遠足

これはもう十分気が利いているでしょう。

馬場絵里菜はその様子を見て思わず笑った。「さっきあなたの観察力がいいって褒めたばかりなのに、すぐに地雷を踏んじゃったわね!」

「どういう意味?」夏目沙耶香は一瞬戸惑い、馬場絵里菜を見つめて瞬きした。「あなたとお母さんの兄に何か問題があるの?全然わからなかったわ!」

馬場絵里菜はただ軽くため息をついた。「長い話なの、言いたくないわ。とにかく、あなたが今見たような単純な関係じゃないってことよ」

夏目沙耶香は納得したように眉を上げたが、それ以上は聞かなかった。結局これは馬場絵里菜の家庭の私事だし、二人は親友とはいえ、分別をわきまえるべきだった。

その夜、細田仲男はとても遅く帰宅した。

リビングでは、お爺さんとお婆さんがソファに座ってテレビを見ていた。細田仲男が帰ってくるのを見て、お婆さんはすぐに立ち上がって迎えに行った。「どうしてこんなに遅いの?また残業?」

「いや、玲奈のところに行ってたんだ」

細田仲男はスリッパに履き替えてリビングに入り、お爺さんがお茶を飲んでいるのを見て尋ねた。「梓時はどうしてる?もう寝た?」

「まだよ。ちょうど果物を持って上がったところだけど、彼は宿題をしているわ」とお婆さんが言った。

細田仲男はうなずいた。「この数日、彼はあなたたちに対して不機嫌になったりしなかった?」

新学期が始まる前に、細田仲男は細田梓時のおもちゃや漫画、そしてノートパソコンをすべて取り上げ、細田梓時と大喧嘩になった。

しかし細田仲男は心を鬼にした。高校3年生というこの重要な時期に、息子を甘やかすことこそが本当の害になるのだから。

「いいえ」とお婆さんは小さくため息をついて言った。「ただ、昨日と今日は少し元気がないみたいだけど、騒いだりはしていないわ」

細田仲男はそれ以上考えず、聞いてうなずくだけだった。「彼が騒ごうが騒ぐまいが、もう甘やかしてはだめだ。たった一年だ、歯を食いしばれば乗り越えられる。高校3年生は逆流に漕ぐようなもので、前進しなければ後退するんだ」

「わかったわ、お父さんと私も理解しているわ。食事はした?キッチンに取っておいたから、温めようか?」とお婆さんは彼を見て尋ねた。

細田仲男はうなずいた。「少し食べるよ」