考えていると、突然携帯が鳴った。
月島だった。
急いで電話に出ると、向こうの月島がすぐに言った。「どこにいるの?」
「いとこに会って、ちょっと話してるところ。すぐ戻るわ」馬場絵里菜は適当に答えた。
月島はそれを聞いて、やっと安心して電話を切った。
細田梓時を見下ろして、馬場絵里菜は眉をひそめた。「大丈夫?動ける?」
細田梓時は体を支えて立ち上がった。「うん、ちょっと痛いけど、大したことないよ」
馬場絵里菜はうなずいたが、それ以上の心配はしなかった。「じゃあ、友達が待ってるから、先に行くね」
彼女と細田梓時の関係において、ここまで助けるのは既に境界線を越えていた。残りのことは、彼自身に任せよう。
彼が病院に行くにしても、直接家に帰るにしても、もう自分には関係ないことだった。