第735章:離婚後どうしてこんなに変わったの?

誰が知っていたことか、5階からエスカレーターで2階に降りたとき、ちょうど細田仲男と中山玲奈が高級時計専門店の前で鉢合わせになった。

二人はカウンターの前でかがみ込み、時計を選んでいるようだった。

さっき外で伊藤春がデパートに入るのを見かけていたが、突然このように出くわし、特に中山玲奈がいる状況で見られたことで、細田仲男は思わず後ろめたさを感じた。

彼は自分が何に後ろめたさを感じているのかわからなかった。明らかに二人はすでに離婚していたのに。

一方、中山玲奈は最初、伊藤春だと気づかなかった。

二人は以前一度会ったことがあった。それは日本料理店で伊藤春が細田仲男の不倫現場を目撃し、怒りのあまりお茶を彼の顔にぶちまけた時で、その時中山玲奈もその場にいた。

しかしあの時の伊藤春は細田仲男の目には「古い妻」でしかなかったが、今目の前に現れた生まれ変わったような伊藤春を見て、中山玲奈は一瞬戸惑った。

じっくり見てようやく、この目の前の女性が細田仲男の元妻だと気づいた。

「春、なんて偶然だね!」細田仲男は表情の気まずさを必死に隠し、伊藤春に声をかけたが、顔の笑顔はやや硬かった。

伊藤春はもちろん中山玲奈の存在に気づいていた。彼女は自分の家庭を壊したこの女性をはっきりと覚えていた。

しかし伊藤春は実際には中山玲奈をそれほど恨んでいなかった。結局、男の不倫を第三者のせいにするという考え方は危険で、器量が小さいことだった。

伊藤春は中山玲奈の前で細田仲男の面子をつぶすようなことはせず、彼を見てうなずきながら言った。「仕事帰りに買い物に来たの。」

細田仲男はそれを聞いて、思わず伊藤春が手に持っている大小の袋に目をやった。特にノートパソコンが目立っており、一目で非常に重そうだった。

「パソコン買ったの?こんなにたくさん荷物があるなら、持ってあげるよ!」

これは本当に社交辞令ではなく、伊藤春がこれだけの荷物を持っているのを見て、細田仲男が本能的に言った言葉だった。

「いいわ、ちょうどいいから、これを持って帰ってくれる?」伊藤春はそう言いながら、手から数個の上品な包装の袋を取り出して細田仲男に渡した。