高遠晴は少し目を伏せて言った。「どういたしまして。」
元々は全員で山頂に向かって歩いていたのだが、他のクラスの中には既に中腹で方向を変え、専門のキャンプスタッフに連れられて各クラスの予定されたキャンプ地に向かったものもあった。
山頂は広いものの、500人以上の大集団が同時にテントを張ってキャンプするのは不可能だった。そのため、各クラスのキャンプ地は青葉山の上にあるとはいえ、具体的な場所は異なっていた。
1組は山頂に近づいた時、左側に向かって歩き始めた。
夏目沙耶香は歩きながら心配そうに言った。「蛇とかいないかな?」
馬場絵里菜はそれを聞いて、軽く笑った。「絶対いるでしょ、山にはだいたい蛇がいるものじゃない。」
特に現代では、自然環境がまだ比較的よく保護されており、地球の様々な資源は使い果たされる程度には至っていなかった。特に日本では、美しい山や水が至る所に見られ、鳥や獣も当然少なくなかった。