第775章:細田梓時という人を知っていますか

皆は笑いながら、武道場に入った。

中川彰は馬場絵里菜たち弟子が秋の遠足から戻ってきたのを見て非常に喜び、馬場絵里菜も中川彰の足が前回見たときよりも確かに回復が進んでいることに気づいた。

墨先輩と文先輩に会うと、またしばらく会っていなかったので挨拶を交わさずにはいられなかった。

「さあ、話は後にして、みんな朝の稽古を始めよう。終わったら学校に行かなければならないからな」中川彰はそう命じた。

皆はそれを聞くと、急いで隊形を整え、いつものように朝の稽古を始めた。

今や馬場絵里菜の朝の稽古の強度は他の先輩たちに完全に追いついており、林駆と高遠晴の二人もゆっくりと追いかけていた。ただ、馬場絵里菜のスピードと比べると少し遅かった。結局、二人は全く基礎のない人たちだったからだ。

朝の稽古が終わると、皆は武道場のレストランで簡単に朝食を取り、一緒に出口へ向かった。

このとき、馬場絵里菜は突然、他の先輩たちと平野青先輩が皆、第一高校の生徒だということを思い出した。

そこで思わず尋ねた。「三先輩、皆さんはもう高校3年生ですよね?」

柳澤勇気はうなずいた。「そうだよ、だから今は毎日の時間が本当に少ないんだ。夜の自習が終わって家に帰るともう10時だし、翌日武道場に来るとなると、5時間くらいしか眠れないかもしれない」

「じゃあ、細田梓時という人を知っていますか?」馬場絵里菜は尋ねた。

柳澤勇気は最初に首を振った。「知らないな」

しかし西野孝宏が突然口を開いた。「先輩、細田梓時はあなたのクラスの人じゃないですか?」

馬場絵里菜はそれを聞いて、視線を平野青に向けた。「先輩、細田梓時はあなたのクラスの人なんですか?」

平野青はうなずいた。「そう、うちのクラスの落ちこぼれよ。入学時の実力テストの結果が一昨日出たけど、市全体のランキングで、彼はまた下位10%だったわ」

言い終わると、平野青は思わず馬場絵里菜を見て尋ねた。「どうしたの、後輩、あの人を知っているの?」

馬場絵里菜は知らないと言いたかったが、考え直してうなずいた。「彼は私のいとこで、母方の叔父の息子なんです」

「えっ?」平野青は思わず眉をひそめた。明らかに細田梓時のような人物と馬場絵里菜を結びつけることができなかった。

それも親戚関係だなんて。