小林桂美から見れば、姉が詐欺に遭ったのは自業自得だった。
高望みをしたのが悪いのだ。
結局、上流階級に入れず、愛人という汚名を被ることになった。
今や中年になっても、まだこんなに落ち着きがない!
それを聞いて、大川素濃は眉をひそめた。
彼女も小林綾乃が学校を辞めて小林桂代にビジネスを教えることに賛成ではなかったが、小林桂美がそんな酷い言い方をするべきではなかった。
落ち着きがないとは何だ?
自業自得とは何だ?
当時、小林桂代は弟妹の学費のために、若くして人生の辛酸をなめ尽くした。
その時、彼女は小林強輝の学費を払い終わったばかりで、小林桂美も専門学校に合格した。やむを得ず、小林桂代は青葉市でウェイトレスとして働き、あちこちから工面して小林桂美の学費を集めた。そしてその期間に、小林桂代は大谷滝と知り合った。
しかし専門学校を卒業した後、小林桂美は二度と帰ってこなかった。
みんな小林桂代は白眼狼を育てたと言った。
でも小林桂代は妹が小さな山村を出られたことを心から喜んでいた。
彼女が必死に弟妹の学費を工面したのは、弟妹に自分と同じ道を歩ませたくなかったからだ。小林桂美が青葉市の地元の人と結婚したと知った時、小林桂代はとても安心した。妹が彼女の身分を恥じて結婚式に呼ばなかったことさえ、気にしなかった。
大川素濃はケチな面もあったが、善悪の区別はつく人で、義姉の長年の苦労を理解していた。
「お姉さん、姉さんはクズ男に騙されてこんな状態になって、もう十分可哀想じゃないですか!もし身内までが姉さんを見下すなら、他人は姉さんをどう見るでしょうか?」
小林桂美は一瞬固まった。
義妹が小林桂代の味方をするとは思わなかった。
可哀想?
小林桂代のどこが可哀想なのか?
偽の結婚証明書さえ見分けられないのは誰のせいだ?
字も読めない文盲が青葉市に来るなんて、男が彼女を騙さずに誰を騙すというのか?