小林桂美から見れば、姉が詐欺に遭ったのは自業自得だった。
高望みをしたのが悪いのだ。
結局、上流階級に入れず、愛人という汚名を被ることになった。
今や中年になっても、まだこんなに落ち着きがない!
それを聞いて、大川素濃は眉をひそめた。
彼女も小林綾乃が学校を辞めて小林桂代にビジネスを教えることに賛成ではなかったが、小林桂美がそんな酷い言い方をするべきではなかった。
落ち着きがないとは何だ?
自業自得とは何だ?
当時、小林桂代は弟妹の学費のために、若くして人生の辛酸をなめ尽くした。
その時、彼女は小林強輝の学費を払い終わったばかりで、小林桂美も専門学校に合格した。やむを得ず、小林桂代は青葉市でウェイトレスとして働き、あちこちから工面して小林桂美の学費を集めた。そしてその期間に、小林桂代は大谷滝と知り合った。