雨子は思いもよらなかった。聞いたこともないブランドなのに、本当にニキビに効果があるなんて。
しかも、こんなに素晴らしいなんて。
彼女は自分の目を疑い、大きく目を見開いて鈴木慧子の顔をじっと見つめた。
でも目の前の光景は変わらなかった。
「本当に美人亭っていうのを使ったの?」雨子は不安そうに尋ねた。
「うん」慧子は頷いて、ほっとした表情で言った。「ゴミ箱から拾い戻してよかった。そうしなかったら一生後悔するところだった!」
雨子は目を細めて「シミ取り製品もあるの?」と聞いた。
彼女はニキビはないけど、顔にたくさんのシミがあった。
「あるみたいよ。見に行ってみたら?」
「場所はどこ?」雨子は尋ねた。
慧子は「南通りの方よ。行けばすぐ分かるわ。お店の場所は目立つから」と答えた。
「わかった」雨子は頷いた。
そうしたら、顔のそばかすが消えたら、今の彼氏と別れて、青葉市の地元の人を見つけよう。
――
大川素濃は家に帰ると、店舗を買いたいという話を小林強輝にした。
小林強輝は少し躊躇して「店舗投資はいいけど、南通りはちょっと外れすぎてるな」と言った。
南通りは郊外にある。
今はまだましだが、以前は純粋な田舎だった。
素濃は彼を見て「あなたに何が分かるの?綾乃があそこは必ず発展すると言ってたわ!それに近々地下鉄も通るのよ」と言った。
そう言って、素濃は続けた。「それに今店の商売も上手くいってるし、南通りが発展しなくても損はしないでしょう」
小林強輝はタバコを一服吸って「じゃあいいよ、買おう」と言った。
彼もまもなく昇進するし、姉と妻の商売も上手くいっているし、店舗一つ投資するのはそれほど大きな負担ではない。
しばらくして、小林強輝は何か思い出したように続けた。「綾乃が南通りには投資価値があると言うなら、二姉さんにも言っておいた方がいいんじゃない?」
身内で利益を分け合うのがいい。
もし将来あそこの店舗が値上がりしたら、小林桂美も一緒に儲けられる。
「あなたの二姉さん?」素濃は彼を見て、意味深げに「あの人?ふん……」
「何をふんってるんだ?」
素濃は続けて「あなたの二姉さんが変わってしまったことに気付いてないの?この話を伝えても感謝されないわよ。むしろ皮肉を言われるだけよ!」