037:不思議な既視感

現代社会にはありとあらゆる人がいるものだ。

詐欺事件のニュースも珍しくなくなった。

田中麗子は一度ならず見てきた。

南通りだけでも何件も起きている。

億万長者でもない限り、誰が軽々しく倒れている老人を助け起こそうとするだろうか?

田中麗子の言葉を聞いて、小林桂代は伸ばしかけた手を引っ込め、地面に倒れている老人を見ながら尋ねた。「おばあさん、大丈夫ですか?」

地面に倒れている老人を見ながら、小林桂代は突然、自分が農薬を飲んだあの夜のことを思い出した。

死に近づき、孤独で助けのない気持ちがどんなものか、彼女以上に分かる人はいないだろう。

少し躊躇した後、小林桂代は老人を助け起こすことを決意した。「おばあさん、お手伝いしますが、絶対に詐欺はしないでくださいね。」

老人にはまだ意識があり、不明瞭な声で「あ......あ......」