053:永田徳本の末裔、大物の手腕(初回購読、1万字の章)_6

小林綾乃は違約金のことまで知っているなんて。

古川月は一瞬固まった。

この金髪のやつを見くびっていたようだ。

でも、問題ない。

この契約書は完璧に作られていて、普通の人には抜け穴など見つけられない。ましてや小林綾乃のような金髪のやつには。

そう考えながら、古川月は小林綾乃を見上げて、笑顔で言った。「お嬢さん、ご安心ください。違約金通りにお支払いしますから。あなたは教養のある方のようですし、解約契約書にサインするだけでいいんですよ。」

そう言って、古川月は続けた。「母子家庭で大変な思いをされているでしょうから、解約契約書にサインした後、特別に10日間の準備期間を差し上げます。10日後に私と主人が家を引き取りに来ます。」

小林綾乃の表情は変わらず、古川月に手を差し出して、三文字だけ言った。「見せて。」