053:永田徳本の末裔、大物の手腕(初回購読、1万字の章)_3

「結局、あなたたちがいなければ彼らもいないのよ!」

古川月は聞けば聞くほど気分が悪くなった。

馬場沙保里の言うことはもっともだと思った。

このお金は本来、彼らの家が稼ぐべきものだった。

馬場沙保里は続けて言った:「私なら、店舗を直接取り戻すわ!なぜあの厚かましい母娘に得をさせなければならないの?」

一方。

美人亭の二人の店員が列に並ぶお客様にミネラルウォーターを配っていた。

やがて、十七、八歳の少女が店から出てきた。彼女は白いシャツに黒いズボンというシンプルな服装で、お団子ヘアにしており、繊細で長い白鳥のような首が露わになっていた。素顔なのに、驚くほど美しかった。

一挙手一投足に真似のできない墨のような優雅さが漂っていた。

後ろの喧騒さえも彼女の背景に成り下がっていた。

少女は列に並ぶ人々を見て、静かに口を開いた:「申し訳ありません、皆様を長時間お待たせしてしまいました。現在フェニックスと蓮の露のセットは完売し、フェイスマスクも20箱しか残っていません。皆様、明日また来ていただけますでしょうか。」

最近、美人亭の商売は日に日に繁盛し、自動化生産でも需要に追いつかなかった。

現在、小林綾乃は規模拡大を計画し、工場を建設して自社の生産ラインを設立しようとしていた。

この言葉を聞いて、列に並んでいた人々から不満の声が上がった。

「1時間も並んでたのに、今さら帰れって?」

「こんなやり方あり?」

「詐欺師!」

「商売が繁盛してきたら、私たちの気持ちなんてどうでもよくなったの?」

小林綾乃は怒るどころか、むしろ笑顔で言った:「皆様のお気持ちはよく分かります。そこで特別に皆様にプレゼントをご用意しました。これは当店の新商品の美白クリームです。今回20mlの正規サイズを1セットプレゼントさせていただきます。さらに優待カードもお付けしますので、次回ご来店の際は20%オフでお買い物いただけます。」

列の中から即座に質問が上がった:

「会員カードを作れば美白クリームが買えるんですか?」

「はい。」小林綾乃は軽くうなずいた。

「ありがとうございます、社長。」

「社長が太っ腹だ。」

今の美人亭がどれほど人気があるか、誰も知らなかった。

美容系インフルエンサーたちの新しい寵児となっていた。