054:満壺の水は音を立てず、半壺の水は音を立てる_8

山下おばあさんの言葉は自信に満ち溢れていた。

結婚反対主義者は、相手が天上の仙女であっても、その信念は微動だにしないものだ。

白川露依も山下おばあさんの言葉があまりにも荒唐無稽だと感じ、「言野、おばあさんの言うことは気にしないで。世の中にそんな完璧な人なんているわけないでしょう?私は仙依が一番あなたに合っていると思うわ。時間があったら会って、LINEでも交換して話してみたら?」

山下おばあさんは即座に反論した。「大谷仙依はダメ!」

「お母さん、あなたが紹介する人なんて信用できないわ!」

姑と嫁が言い争う中、山下言野は頭が痛くなってきて、ソファから立ち上がり、「二階に上がるよ」と言った。

そう言うと、彼は階段を上がっていった。

山下言野は三階のジムに直行し、上着を脱ぎ、鏡に映る自分を見つめながら、なぜか安堵のため息をついた。