058:面談を約束して、王と王は会わず_4

鈴木赤玉の言葉には二重の意味があった。彼女はずっと徳川家の事を切り盛りし、大口豪は自分の仕事を持っていた。

大口絢が今日の成績を収められたのは、全て自制心のおかげだった。

大口絢に申し訳ないのは彼女だけではない。

徳川家全体が大口絢に借りがあるのだ。

山下おばあさんは頷いて、「絢は本当に優秀な子ね!将来きっと大成するわ!」と言った。

大口絢は謙虚に「山下おばあさん、お褒めに預かり過ぎです。この世界には、私より優秀な人がたくさんいます」と答えた。

山下おばあさんはその言葉にもっともだと感じ、「絢の言う通りね。人には上があり、天外に天ありというけれど、私は非常に凄い女の子を知っているの。まだ18歳なのに、スキンケア製品を作れるだけでなく、医術も心得ているのよ」と言った。