山下言野には大物らしい態度は微塵もなかった。
毎日、修理屋で車を修理するか、修理屋で寝るかのどちらかだった。
何もすることがない。
ただ無為に日々を過ごすだけ。
元々、遠藤お爺さんは山下言野を引き取り直そうと考えていた。
今では…
この腐った泥を足の下に踏みつけたいだけだった。
こんな人間が生きているだけで、彼にとっては侮辱そのものだった。
遠藤お爺さんは目を細めて、「あいつにそんな知恵があるはずがない」と言った。
三つ子の魂百までと言うように。
山下言野は幼くして山下家の者に引き取られたが、遠藤お爺さんも七歳までは彼の成長を見守っていた。
山下言野は幼い頃から平凡で、特別なところは何一つなかった。
三歳の時でさえ、やっと百まで数えられる程度だった。
遠藤越海は双眼鏡を下ろして、「お父さん、もし山下言野がKさんでないとすれば、大橋克さんが見た人は誰なんでしょうか?」と尋ねた。