「臭い!」
黒武は笑いながら言った。「これは言野さんが特別にあなたに送るように頼んだ靴下だよ。一橋さん、賭けは賭けだからね!」
一橋景吾はそこで山下言野との賭けを思い出した。
くそっ!
「言野さんの足がなんでこんなに臭いんだ?」
みんな彼の足が臭いと言っていたが、山下言野の靴下は生物兵器並みだった。
見た目で人を判断してはいけないものだ。
黒武はもちろん一橋景吾に、これらの靴下が基地の男子寮から集めてきたものだとは教えなかった。
若い男たち。
臭い靴下を数週間も溜め込んで、積み重なって発酵していた。
臭くないわけがない。
山下言野がこうしたのは、一橋景吾に教訓を与えるためだった。
黒武は続けて言った。「言野さんが毎週一回送ると言ってました。」
一橋景吾:「...」
山下言野と賭けなどするべきではなかった。
黒武はさらに言った。「言野さんは、逆立ちシャンプーの配信をするように言ってました。」
一橋景吾は頭が二つに割れそうになった。
彼は山下言野がこのことを忘れていると思っていた。
しかし予想外にも...
彼は忘れていなかっただけでなく、
こんなにはっきりと覚えていた!
——
小林家。
小林綾乃は果物を洗ってテーブルに運び、「何が好きか分からなかったので適当に洗っておいたの。遠慮しないでね。」
渡辺麗希はテーブルの果物を見て笑顔で言った。「私は何でも大丈夫よ。綾乃ちゃんが洗ってくれた果物、全部好きだわ。」
そう言って、スイカを一切れ取った。
二人は知り合って間もないが、お互いにとても相性が良く、話が尽きなかった。
リビングには二人の女の子の笑い声が満ちていた。
渡辺麗希は携帯を取り出し、「一緒に写真を撮ってSNSに投稿しない?」
彼女は小林綾乃という最高の親友を公表したかった!
親友とは、仲の良い女の子同士が何でも一緒にし、悩みを打ち明け合い、プライベートな話題も包み隠さず話せる関係のこと。
最近は「親友」という言葉に良い印象を持たない人も多い。
でも間違っているのは親友という関係ではない。
間違っているのは人なのだ。
だから、渡辺麗希は「親友」を決して軽蔑的な言葉だとは思わなかった。
「いいわよ。」小林綾乃は目を細めて笑いながら、カメラに向かった。
カシャッ。
一枚の写真が永遠に残された。