コメントを終えた山本世月は、今時の若い女の子は本当に計算高いと心の中で感心した。
写真加工は自分のことばかり。
渡辺麗希を引き下げて自分の美しさを引き立てようとしている。
渡辺麗希が友達として紹介してくれたのに、なんて残念なことだろう!
渡辺麗希は純粋すぎる。
こんな小細工にも気付かないなんて。
そう思いながら、山本世月は無力に首を振った。
マッサージ師はその様子を見て、すぐに尋ねた:「渡辺さん、力が強すぎましたか?」
「いいえ」山本世月は目を閉じて、「このままの力加減でいいわ」
「かしこまりました」
マッサージ師はほっと胸をなでおろした。力加減を間違えてこのお金持ちの奥様の機嫌を損ねるのが怖かったのだ。
山本世月は彼女の新しい客だった。
初日から店で10万円もチャージしたのだ。
まさに福の神と言っても過言ではない。
――
小林家。
母親のコメントを見て、渡辺麗希は笑い出し、スマートフォンを小林綾乃の前に差し出した。「綾乃、見て。母が写真加工したと思ってるわ」
小林綾乃は得意げな表情で、「私が生まれつき美人だからしょうがないでしょ?」
渡辺麗希は母親に返信した:[これは私が撮った元の写真よ。加工なしだよ~]
このコメントを返信した後、渡辺麗希はスマートフォンを置いた。
小林綾乃は時計を見て、続けて言った:「麗希、辛いもの平気?」
「平気よ」渡辺麗希は頷いた。
「月見通りに最近新しい火鍋のお店ができたんだけど、美味しいって評判なの。今夜行ってみない?」小林綾乃が提案した。
「いいわね」渡辺麗希は笑顔で言った:「私、火鍋食べてないの久しぶり」
彼女が青葉市に来てまだ2ヶ月も経っていなかった。
小林綾乃は彼女が作った最初の親友だった。
火鍋は二人で食べてこそ雰囲気が出るものだ。
山本世月は健康に気を使う人で、薄味好み。
火鍋は一切食べない。
「じゃあ、今から出発する?」
「うん」渡辺麗希は頷いた。
二人の女の子は楽しそうに話しながら団地を出た。
玄関を出たところで。
城井沙織が外から入ってきた。
彼女は友達の誕生日パーティーから帰ってきたところで、5千円以上もするワンピースを着ており、襟元のロゴが目立っていた。
頭にはシャネルのクリスタルヘアピンをつけていた。