「はい、奥様、すぐに取り掛かります」
鈴木澪由は頷いて、続けて言った:「この件は私たちだけの秘密よ」
「ご安心ください。この件は絶対に第三者には漏らしません」
中村執事はこの件の重大さを当然理解していた。もし少しでも情報が漏れれば、徳川家での仕事を続けることはできなくなるだろう。
そして。
中村執事の忠誠心は、この件を他人に話すことを許さなかった。
たとえ自分の家族にも。
鈴木澪由は笑って言った:「中村さん、あなたを信頼していますよ」
中村執事は続けて言った:「奥様、では今から調査に取り掛かります」
「行ってらっしゃい」
中村執事は身を翻して去っていった。
鈴木赤玉は薬膳の入った椀を持って、徳川おじいさんの寝室から出てきた。
彼女の位置からは、鈴木澪由と中村執事が何かを話しているのが見えた。
それを見て、鈴木赤玉は目を細めた。
実は長年、叔母と叔父が自分を警戒しているのを感じていた。そうでなければ、この年になっても徳川家の後継者として公表したがらないはずがない。
でも構わない。
叔母と叔父が自分の良さを認めてくれなくても、自分の良心に恥じることはない。
叔母と叔父に対して申し訳ないことは何一つしていないのだから。
だから。
鈴木澪由が何を調べようと、少しも怖くはない。
「お母さん、何を見ているの?」大口絢が横から近づいて、不思議そうに尋ねた。
その声を聞いて、鈴木赤玉はゆっくりと視線を戻し、笑って言った:「何でもないわ」
言い終わると、鈴木赤玉は続けて言った:「絢、午後におばあちゃんと金田おばあさんが外出するから、一緒に付き添ってあげて。お二人とも年配だから、誰も付き添わないと心配だわ」
山下おばあさんは西京に来てから何日も経つのに、まだちゃんと観光していない。
「はい、お母さん」
鈴木澪由が外から入ってきて、ちょうどその言葉を聞いて、笑って言った:「絢は午後授業があるでしょう?彼女には用事を済ませてもらって、私と金田おばさんで行けばいいわ」
鈴木赤玉は手に持っていた椀を横の使用人に渡し、「叔母さん、授業なんかより叔母さんの方が大事です。それに、絢はもう大学生なんだから、たまに授業を休んでも大丈夫です。単位を落とさなければいいんですから」
いつでも、鈴木赤玉は無意識のうちに叔母と叔父のことを最優先にしていた。