鈴木澪由という当事者には見えないものを、山下おばあさんははっきりと見抜いていた。
彼女は自分の親友が騙されるのを黙って見過ごすわけにはいかなかった。
鈴木赤玉は鈴木澪由と血縁関係があるとはいえ。
人の心は測り知れないもの。
誰が背後で鈴木澪由を陥れようとしているかわからない?
この言葉を聞いて、鈴木澪由は一瞬戸惑った。
山下おばあさんの言うことはもっともだと思ったが、鈴木赤玉も大変だろうとも感じた。
「遥姉さん、確かにそうですけど、でも...」
「でもも何もないわ!」山下おばあさんは鈴木澪由の言葉を遮って、「言っておくけど、あなたの財産を狙う人間は、みんなろくでもない奴よ!彼らの言うことは一言も信じちゃダメ。」
彼女がいる限り。
誰も鈴木澪由を精神支配できない。
言い終わると、山下おばあさんは眉をひそめ、何かを思い出したように、「澪由、小口先生が何か言ったの?」