066:皆が局の中の人

鈴木澪由という当事者には見えないものを、山下おばあさんははっきりと見抜いていた。

彼女は自分の親友が騙されるのを黙って見過ごすわけにはいかなかった。

鈴木赤玉は鈴木澪由と血縁関係があるとはいえ。

人の心は測り知れないもの。

誰が背後で鈴木澪由を陥れようとしているかわからない?

この言葉を聞いて、鈴木澪由は一瞬戸惑った。

山下おばあさんの言うことはもっともだと思ったが、鈴木赤玉も大変だろうとも感じた。

「遥姉さん、確かにそうですけど、でも...」

「でもも何もないわ!」山下おばあさんは鈴木澪由の言葉を遮って、「言っておくけど、あなたの財産を狙う人間は、みんなろくでもない奴よ!彼らの言うことは一言も信じちゃダメ。」

彼女がいる限り。

誰も鈴木澪由を精神支配できない。

言い終わると、山下おばあさんは眉をひそめ、何かを思い出したように、「澪由、小口先生が何か言ったの?」

小口貞那以外に。

山下おばあさんは他に思い当たる人がいなかった。

なぜなら今は彼女以外に、小口貞那が鈴木澪由が最も信頼している人だから。

小口貞那が何か言えば、必ず鈴木澪由の心に波紋を広げることができる。

「違います」鈴木澪由は首を振って、「貞那はあなたが思うような人じゃありません。むしろあなたと同じで、赤玉と山田絹美に何か関係があるか調べるように注意してくれたんです!」

「本当にそう言ったの?」山下おばあさんは眉をひそめた。

今や事態は行き詰まっていた。

鈴木赤玉と山田絹美に本当に接点がないのなら、徳川秋水は誰に騙されたのか?

徳川秋水が事件に遭った時、鈴木赤玉は学校で普通に授業を受けていた。

そうなると。

鈴木赤玉の嫌疑は晴れる。

しかしそれは、徳川秋水の失踪と鈴木赤玉が全く無関係だということではない。

もし山田絹美が娘に一生富貴な暮らしをさせたくて徳川秋水を騙したとしたら?

そうすると問題が出てくる。

もし小口貞那と鈴木赤玉が共謀しているなら、彼女は山田絹美の存在を知っているはずで、山田絹美と鈴木赤玉に関係があることを知っているなら、自ら鈴木澪由に山田絹美を調べさせるはずがない。

それは自ら罠にはまるようなものだ。

ただし。

この事件は最初から最後まで山田絹美とは関係がないのかもしれない。

でも山田絹美以外に。