山下おばあさんはにこにこと笑って言った。「あなたがこの家の主人としてそう言うなら、私はもう数日滞在させていただきます。」
それを聞いて、鈴木澪由は気づかれないように眉をひそめた。
結局のところ、このしつこいおばあさんはまだ帰る気がないのだ。
「金田おばさん、どうぞ気兼ねなくお過ごしください。ここを自分の家のようにお考えください。」
鈴木澪由は頷いて、「赤玉の言う通りです。」と言った。
話している最中。
大口絢が小口おばあさんを連れてきた。「おばあさま、小口おばあさんがいらっしゃいました。」
小口貞那を見て、鈴木澪由はすぐに立ち上がり、心配そうに尋ねた。「木下から昨夜咳が出ていたと聞きましたが、大丈夫ですか?」
木下は鈴木澪由が小口貞那のために雇った介護人で、小口貞那の日常生活の世話をしている。
結局、彼女は西京で頼る人がいないのだから。
小口貞那は首を振って、「大丈夫です。私自身が医者なのですから、何を心配することがありますか?ちょっとした風邪で、薬を飲んだら今はもう良くなりました。」
山下おばあさんは笑みを浮かべながら小口貞那を見て、「小口名医、その風邪薬はそんなに効果があるのですか?私にも処方していただけませんか?年を取ると免疫力が下がってきて、すぐに風邪を引いてしまうんです!病院は嫌な匂いがするので、行きたくないんです。」
小口貞那は山下おばあさんを見て、続けて言った。「はい、後で二箱お持ちします。ただし、漢方薬は人によって効果が異なります。私は二粒で治りましたが、あなたも二粒で治るとは保証できません。」
「はい」山下おばあさんは頷いて、「人によって違うのは当然ですね。」
言い終わると、小口貞那は鈴木澪由の方を向いて、「徳川兄さんは昨日どうでしたか?良くなりましたか?」
彼女は今日、徳川勝の経過観察のために来たのだ。
「あなたの処方した薬を飲んでから、昨日の状態は良好でした。今朝はジョギングまでしましたよ。」と鈴木澪由は言った。
「それは良かった」小口貞那は薬箱を背負って、「では、見に行きましょうか?」
鈴木澪由は小口貞那の後に続いた。
一行は奥の部屋に入った。
今日もまだベッドに横たわっているものの、徳川勝の様子は明らかに数日前より良くなっていた。