068:取り持つ_2

「皇妃物語」と古川月が答えた。

馬場沙保里は頷いて、「その名前はいいわね」と言った。

話している最中、大型トラックが店の前に停まり、運転手が窓を下ろして「中村社長、荷物が届きました!」と声をかけた。

古川月は笑いながら「こんなに早く?」と言った。

運転手は「急いでほしいとおっしゃったでしょう?食事も取らずに急いできたんです」と答えた。

「明日オープンだから、急がないわけにはいかないでしょう?」と言いながら、古川月は店内を振り返って「中村さん、早く荷物の搬入を手伝って」と呼びかけた。

「はいはい」と中村忠正が中から走り出てきた。

——

一方。

白川露依は山下言野からもらった最高級の翡翠のブレスレットをつけてお茶会に参加した。

ブレスレットに合わせて、特別に水色のチャイナドレスを選び、白いショールを羽織った姿は、まるで民国時代の映画から抜け出てきた軍閥の奥様のようだった。