069:独断専行

山下言野に困ったことを持ちかけるの?

白川露依は山下言野を何か大物だと思っているの?どんな問題でも解決できると。

白川露依は自慢したいなら、まず山下言野がどんな身分なのか見極めるべきよ。

知らない人が聞いたら、山下言野を海外から来た大物だと勘違いしてしまうわ。

実際は。

この男は彼女の靴の紐を結ぶ資格もない、ただのクズに過ぎない。

言い終わると、白川露依は山下言野を見た。

目には期待の色が満ちていた。

山下言野は男性だから、女性に対して紳士的な態度を取るべき。

だから、彼は率先して大谷仙依に挨拶するべきだった。

そしてこの時、山下言野はようやく理解した。薬を届けるのは口実で、白川露依が本当にしたかったのは大谷仙依を彼に紹介することだった。

彼はこういう場面が本当に苦手だったが、白川露依の面子を立てるため、大谷仙依に軽く頷いて「こんにちは、山下言野です」と言った。

とても淡々とした一言。

大物の風格が漂っていた。

彼は背が高く、身長は192センチほど。

オーラが凄まじい。

160センチの大谷仙依はヒールを履いても彼の肩にも届かない。

青葉市では大谷仙依の魅力を断れる男はいない。

誰であれ、彼女に会えば積極的に握手を求め、LINEを交換する。

しかし山下言野はそうしなかった。

彼はただそこに立ち、大谷仙依を一度も見ようともしなかった。

事情を知らない人が見たら、本当に何か大物だと思うだろう!

大谷仙依だけが知っていた。このクズは彼女に駆け引きを仕掛けようとしているのだと。

彼がわざとこんな素っ気ない態度を取るのは、彼女に自分を見てほしいからだと。

ふん。

クズはクズのまま。

鏡を見て自分の器量を知るべきよ。

大の男が一日中何もせず、女に頼って成り上がろうとするなんて...彼女には理解できなかった。こんな男が生きている意味なんてあるのかしら。

人数合わせ?

「私は大谷仙依です」と言うと、大谷仙依は白川露依を見て、「山下おばさん、ちょっとトイレに行ってきます」と言った。

大谷仙依の去っていく後ろ姿を見て、白川露依の目には残念そうな色が浮かび、そして山下言野を見て、「三郎!さっきの態度は失礼すぎるわよ!仙依ちゃんが帰るのも当然よ。私だって相手にしないわ」

「僕が何かしましたか?」山下言野は無邪気な顔をした。