「私は小林桂代です。」小林桂代は歩み寄った。
運転手は笑いながら言った。「では間違いありませんね。お花を設置させていただきます。」
そう言いながら、運転手は車から二人の助手を呼び、花かごの設置を始めた。
大川素濃と小林桂代は不思議に思い、「お姉さん、このお花は誰からなのかしら?」
小林桂代は首を振って、「私が知っている金姓の人は一人だけよ。」
「誰?」大川素濃は興味津々だった。
小林桂代は答えた。「金田おばさんよ。」
大川素濃は目を丸くして、「もしかして金田おばさんからなの?」
言いながら、大川素濃は何か違和感を覚えた。
山下おばあさんが自分のことを仙女と呼ぶはずがない。
小林桂代は携帯を取り出し、「金田おばさんに電話して聞いてみましょう。」
もしかしたらそうかもしれない。
すぐに電話がつながった。
山下おばあさんは笑みを浮かべながら言った。「そうよ、そうよ。桂代、あなたは本当に賢いわね。すぐに私が仙女だと分かったのね。」
「やっぱりおばあさまでしたか」小林桂代は笑いながら言った。「この数日お会いしていませんでしたが、まだ西京にいらっしゃるんですか?」
「そうよ。」山下おばあさんは続けた。「もう数日したら戻れると思うわ。」
小林桂代は言った。「お戻りになったら、綾乃と一緒にご飯をご馳走させてください。」
「ええ、いいわよ、いいわよ。」
電話を切ると、大川素濃は小林桂代を見て、「本当に金田おばさんだったの?」
「そうよ。」小林桂代はうなずいた。
大川素濃は思わず笑みがこぼれた。「このおばあさま、可愛らしいわね。お嫁さんはきっと幸せでしょうね。」
自分のことを仙女と呼べるということは、山下おばあさんが日常生活でも面白い人柄だということを示している。
こんな姑がいれば、姑と嫁の確執なんて存在しないはず。
花かごが設置され終わると、店の従業員たちも次々と出勤してきた。
午前8時30分。
美人亭の正式オープンまであと30分だが、すでに買い物客が来始めていた。ただし、美人亭は店舗を拡大したため、まだ行列はできていなかった。
一方。
オープンを祝うため、古川月と中村忠正は特別に多くの花火や爆竹を買っていた。
パンパンパン!
古川月も小林綾乃の営業方式を真似て、サンプルと小さな景品を無料配布した。