077：恐ろしい実力、身分を明かす_3

このような考えを持っている人は井上森だけではなかった。

「六十八歳です」小林綾乃は真面目な表情で答えた。

「本当ですか？」井上森は驚いた。

小林綾乃は軽く頷いた。

木下斌が続けて言った：「なるほど、だからこんなに凄いんですね」

安田振蔵は小林綾乃の顔を見つめ、年齢の痕跡を探そうとした。「そ、それは本当にお肌の手入れが行き届いていますね！」

皆の様子を見て、小林綾乃は軽く笑った。

その瞬間、安田振蔵でさえ小林綾乃が冗談を言っているのか本気なのか分からなくなった。

彼女の見た目は十七、八歳くらいにしか見えなかった。

しかし、彼女の実力は七、八十歳以上のレベルだった。

小林綾乃はテーブルの上のキャップを被り、「用事がなければ、私は先に失礼します。実験がうまくいくことを祈っています」

「小、小林さん、ちょっと待ってください」安田振蔵は小林綾乃の後ろ姿を呼び止めた。

小林綾乃は振り返り、「何かありますか？」

安田振蔵は携帯を取り出し、「小林さん、WeChat交換しませんか？」

「いいですよ」小林綾乃は携帯を取り出した。

ピッ！

追加成功。

井上森と木下斌も大物とWeChat交換したかったが、二人とも声を掛ける勇気がなかった。

安田振蔵は続けて言った：「小林さん、時間があれば、私の実験室を見学に来ていただけませんか」

「はい」小林綾乃は軽く頷いた。

井上森は何かを思い出したように、テーブルの上の花を取り、「小林さん、お花です」

小林綾乃は花束を持っていくのを忘れていた。「ありがとうございます」

花を受け取った後、小林綾乃は立ち去った。

安田振蔵はこの時になってようやく、小林綾乃を送るべきだったと気付き、すぐにテーブルの上の車のキーを掴んだ。「小林さんを送ってきます。二人はここで待っていてください」

言い終わると、安田振蔵は急いで走り出した。

しかし。

追いかけて外に出た時には、空気の中に小林綾乃の姿はもう見えなかった。

**

小林綾乃がマリーゴールドを抱えて茶館を出たとき、目の前に一台の車が止まった。

黒いフォルクスワーゲンで、十数年前の旧型で、しかもマニュアル車だった。

青葉市でこのような車を見つけるのは簡単ではない。