小林桂美は馬鹿じゃない。
小林綾乃の言葉に騙されるはずもないし、スーパーを売る考えを諦めるはずもない。
小林綾乃は以前店舗を買うことに成功したことがあるが、それは単なる偶然の産物に過ぎない。
小林綾乃という十代の金髪のやつが、自分に何か能力があると思っているのか?
本当に厚かましい。
そう考えると、小林桂美は心の中で冷ややかに鼻を鳴らした。
それを聞いて、小林桂代は小林桂美を見つめた。「桂美、本当にもう一度考え直さないの?もし、もし本当に立ち退きになったら、損をするじゃない?」
青葉市の立ち退きは世帯人数に応じて住宅を分配する。
小林桂美の家族の場合、最低でも5軒の家が割り当てられるはずだ。
5軒の家が1軒1億円としても5億円の価値がある。
5億円と比べれば、1億5千万円なんて大したことない。