「そうよ」渡辺麗希は得意げな表情で言った。「私の友達はすごいって言ったでしょう。前は信じてくれなかったけど、今は信じてくれるでしょう!」
山本世月はフェニックスを受け取り、宝物を扱うかのように目を細めて「麗希、あなたの友達って転売屋じゃないの?」
転売屋以外に、山本世月は他の職業を思いつかなかった。
「まさか!綾乃は転売屋なんかじゃないわ!」
山本世月は続けて「この二セットはいくらだったの?」と尋ねた。
「1620元よ」渡辺麗希は答えた。
1620?
山本世月は目を細めて「それってフェニックスの定価じゃない?手数料は取られなかったの?」
フェニックスの現在の販売価格は1セット810元だった。
転売屋のところでは5倍の4000元になっていた。
それでもまだ多くの人が手に入れられない状況だった。
「だから綾乃は転売屋じゃないって」渡辺麗希は続けた。「たぶん美人亭のスタッフと親戚関係があるから、内部から商品を仕入れられるんじゃないかしら」
小林綾乃は美人亭は自分の家のものだと言っていたが、渡辺麗希はあまり信じていなかった。冗談で言っただけだと思っていた。
美人亭はあんなに繁盛している。
銀杏通りのような場所に住んでいるはずがない。
山本世月は最初、小林綾乃が意図的に渡辺麗希に近づいているのではないかと心配していたが、今はまったく心配していなかった。笑いながら「思いがけず、今回の友達は少し役に立つわね」と言った。
「何が少し役に立つってことよ?」渡辺麗希は眉をひそめた。「綾乃は私の親友よ。利益で測れるようなものじゃないわ」
自分の言葉が間違っていたことに気づいた山本世月はすぐに謝罪した。「ごめんなさい、ごめんなさい。お母さんに悪意はなかったの。ただ口が滑っただけよ」
そう言って、山本世月は続けた。「時間があったら、その友達を家に連れてきて食事でもしましょう」
彼女は小林綾乃の本当の姿を見てみたかった。
渡辺麗希はうなずいた。「きっと綾乃のことが好きになるわよ」
山本世月は笑いながら考えた。確かに彼女は可愛い女の子が好きだが、一目で好きになるような女の子にはまだ出会ったことがない。
それに、渡辺麗希とは母娘関係とはいえ、二人の美的センスは大きく異なっていた。
だから...