外から足音が聞こえた。
鈴木赤玉が顔を上げると、医療バッグを背負った小口貞那の姿が目に入った。
小口貞那は相変わらず優しい様子で、「赤玉、具合が悪いと聞いたけど、今は少しましになった?」
「まあまあです。最近少し疲れているだけで。」
小口貞那は鈴木赤玉の前に歩み寄り、脈を取った。
しばらくして、小口貞那は鈴木赤玉の手首を離し、声を低めて言った。「赤玉、これは心配し過ぎよ!」
鈴木赤玉はハッとした!
小口貞那は本当に凄い、こんなことまで診断できるなんて。
小口貞那は続けて言った。「子供や、船は橋に着けば自然と真っ直ぐになるものよ。時には考えすぎない方がいいわ。」
徳川家はここにある。
翼は生えない。
飛び立つこともできない。
「今回は違うんです。」
「どこが違うの?」小口貞那は尋ねた。