079:徳川家の継承者_2

外から足音が聞こえた。

鈴木赤玉が顔を上げると、医療バッグを背負った小口貞那の姿が目に入った。

小口貞那は相変わらず優しい様子で、「赤玉、具合が悪いと聞いたけど、今は少しましになった?」

「まあまあです。最近少し疲れているだけで。」

小口貞那は鈴木赤玉の前に歩み寄り、脈を取った。

しばらくして、小口貞那は鈴木赤玉の手首を離し、声を低めて言った。「赤玉、これは心配し過ぎよ!」

鈴木赤玉はハッとした!

小口貞那は本当に凄い、こんなことまで診断できるなんて。

小口貞那は続けて言った。「子供や、船は橋に着けば自然と真っ直ぐになるものよ。時には考えすぎない方がいいわ。」

徳川家はここにある。

翼は生えない。

飛び立つこともできない。

「今回は違うんです。」

「どこが違うの?」小口貞那は尋ねた。