079:徳川家の継承者

その時、鈴木赤玉はあのガキが死に切れていなかったどころか、青葉市にいることなど思いもよらなかった!

もし間違いなければ、鈴木澪由は今回東区での採血のため、青葉市を通って山下おばあさんと会うはずだ。

その瞬間。

赤玉の心は乱れた。

もしも...

もしも彼女たちが再会したらどうしよう?

もし澪由があのガキと再会したら、自分の立場はどうなるの?

いけない。

そんなことは絶対に起こさせない。

赤玉は必死に冷静さを取り戻そうと深呼吸をし、助手を見つめた。「確かなの?」

助手は唇を噛んで、「今は鑑定書だけが足りないんです」

鑑定書がない以上、赤玉の質問に直接答えることはできなかった。

赤玉は目を細めて、「帰ったら、すぐに彼らの資料を送ってよこしなさい」

「はい」

空港から徳川家に戻る道中、赤玉の気分は最悪だった。