しかし、当時の城井家の者たちは詐欺師に遭ったことに気付かず、ただ天の恵みを受けたと思っていた。
だからこそ高値で家を売ることができたのだ。
息子の言葉を聞いて、すでに悲しんでいた城井お母さんはさらに悲しくなり、泣きながら言った。「定邦、あなたは薄情だわ。まさか小林桂美と一味だったなんて...やっぱり嫁をもらったら母親を忘れるものね...」
城井定邦は全体的には問題のない人物で、桂美とはこの数年間とても深い絆を築いていた。「この件は家族全員に責任があります。私たち全員が同意しなければ、桂美一人では家を売ることはできなかったはずです。」
部屋で涙を拭っていた小林桂美は、夫がこのように自分を守ってくれるのを聞いて、少し気持ちが楽になった。
もし城井定邦までも自分の味方でなくなったら、この家にはもう居られなくなるだろう。