志村文礼は軽く顔を上げると、すらりとした人影が目に入った。
少女は十七、八歳くらいで、お団子ヘアにして、唇は赤く歯は白く、シンプルな白いTシャツとジーンズを着ていたが、そのシンプルな装いでも驚くほどの美しさを放っていた。
どの角度から見ても欠点が一つもない。
志村文礼は目を細めて、さりげなく小林綾乃を見て、それから山下言野を見た。
なんてこった。
ボスの魅力は相変わらずだな、若い女の子が追いかけて店まで来るとは。
次の瞬間、山下言野はさりげなくパソコンの電源を切り、椅子から立ち上がった。「お嬢さん、何か用かな?」
小林綾乃は淡々とした口調で、手に持っていたタピオカミルクティーをテーブルに置いた。「これ、あなたに。」
山下言野は一瞬驚いた。
なぜ突然この子が彼にタピオカミルクティーを持ってきたのだろう?