直接見なければ信じられないだろう。普段は冷酷無比なトップの上司がこんな一面を持っているなんて!
まさに奇跡を見た気分だ!
そう思い、一橋景吾は思わず言った。「社長、小林のことが好きなら早く追いかけたほうがいいですよ。あんなに可愛い子なんだから、先を越されたらどうするんですか?」
小林綾乃のような女の子は、周りに追っかけが絶えないはずだ。
しかも彼女はもうすぐ高校三年生になる。
学校は小さな花園のような世界だ。
小林綾乃が誰かの男子生徒を好きになるかもしれない。
「誰が彼女のことを好きだと言った?」山下言野は眉をひそめた。
一橋景吾は呆れて、「本当に好きじゃないんですか?」
「言っただろう。俺は恋愛なんて信じない」と山下言野は言った。
彼は恋愛も結婚もしないつもりだった。