085:こうして征服された~_6

しかし、なぜか志村文礼は無意識のうちに、大江雲斗が火洲に左遷されたのは小林綾乃と無関係ではないと疑っていた。

そして。

志村文礼の直感が告げていた。小林綾乃は本当は見習いになるつもりなどなかったのだと。

彼女は若い女の子で、重いものを持つこともできず、修理店では...

邪魔になるだけで、まったく役に立たない存在だった。

だから。

小林綾乃はきっと山下様の身分を知って、わざと近づいて、彼の注意を引こうとしているのだ。

山下様は女性との付き合いがなかったため、若い女の子の手口を知らなかった。

そうだ。

彼は用心しなければならない。

必ず山下様の前で小林綾乃の本性を暴いてやる。

そう考えながら、志村文礼は目を細めた。

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山下家。

山下おばあさんはボロボロの服を着て、外出しようとしていた。