小林桂美は小林強輝を見上げた。
彼女は突然、この弟が随分と見知らぬ人のように思えた。とても見知らぬ人のように。嘘をつく時でさえ眉一つ動かさない。しかも、騙しているのは実の姉なのに!
小林桂代が帝苑マンションで部屋を買えるなんて、豚が木に登るようなものだ。
さらに笑えるのは、小林強輝が小林桂代は彼らに多額の立て替えをしたと言うこと。小林桂代にそんなお金があるなら、なぜあの怪しい化粧品に投資させようとするの?
そう考えると、小林桂美は冷ややかに鼻を鳴らした。「強輝、お姉さんがそんなにお金持ちなら、どうして私に投資させようとするの?」
小林強輝は笑いながら言った。「姉さんの化粧品店は商売が上手くいってて、お金に困ってないんだ。投資してほしいわけじゃなくて、ただ一緒に儲けたいだけなんだよ。結局は家族なんだから!」