大川素濃は頷いて、「このまま進めば、青葉市の長者になるのは間違いないわね」と言った。
青葉市の長者どころか。
和国一の長者になれると大川素濃は自信満々だった。
とにかく小林桂代の側について金を稼げばいいのだから。
小林桂美は呆れて、そんな途方もない話は聞いていられなかった。「おめでとうございます。素濃さん、この数日は古い家を売って引っ越しで忙しいでしょうね」と続けた。
「ええ」大川素濃は頷いて、「私も車を停めたら上がるわ」と言った。
小林桂美は城井沙織を連れて家の中へ入っていった。
階上に着くと、小林桂美は城井沙織に注意を促した。「沙織、あなたはお義母さんのような人間にはならないでね」
嘘ばかり!
まさに陽の当たらない下層民そのものだわ。
城井沙織は頷いた。
小林桂美は続けた。「それに、お姉さんと綾乃のような人間にもね。彼女たちは反面教師よ」