086:恥を晒し、引っ越しの準備_2

山下おばあさんが去った直後のことでした。

秋山春樹と藤原巧が段ボール箱を持って売りに来ました。

三輪車の前まで来ると、小林綾乃の姿が目に入りました。

小林綾乃に一度こっぴどく叱られて以来、藤原巧は大人しくなり、少なくとも陰口は叩かなくなり、顔を合わせれば礼儀正しく接するようになりました。

小林綾乃が廃品回収車の前に立っているのを見て、藤原巧は目を疑いましたが、よく見ても光景は変わりませんでした。

本当に小林綾乃だったのです!

藤原巧は笑いながら言いました。「綾乃ちゃんが廃品回収をしているの?目の錯覚かと思ったわ!」

「錯覚じゃないわ」小林綾乃は淡々とした口調で答えました。「金田おばあさんの代わりに店番をしているだけよ。段ボールを売りに来たの?」

藤原巧は頷きながら、小林綾乃を品定めするような目で見ました。もう廃品回収までしているのに、大川素濃はまだ小林桂代と一緒に化粧品店を開いて儲かっているなんて嘘を言っているなんて。