086:恥を晒し、引っ越しの準備_3

昔から美人は災いの元。

特に小林綾乃のような器量だけの女の子は。

ここまで話して、藤原巧は何かを思い出したような顔をして、「あっ!分かった!」

「何が分かったんですか?」秋山春樹は好奇心を持って尋ねた。

藤原巧は続けて言った:「大川素濃が私の前で自慢げに話していた理由が分かったわ!」

「なぜですか?」

藤原巧の目には皮肉な色が浮かんでいた。「他に何があるの?小林綾乃のために世間を騒がせているのよ!小林家にはお金がたくさんあると私たちに思わせて、そうすれば綾乃があなたに近づきやすくなるってわけ。」

小林桂美が青葉市に嫁いで成功したことで、小林家の者たちは希望と未来を見出し、今度は小林綾乃にも桂美と同じ道を歩ませようとしているのだ。

こういう人たちは本当に気持ち悪い。

自分で努力もせずに、いつも高い枝に手を伸ばそうとする。

鏡を見て自分がどんな程度の人間か確認すべきよ。

小林綾乃なんかが秋山春樹に釣り合うわけないじゃない?

夢見すぎ。

そう考えて、藤原巧は続けて言った:「後で古本を売りに行くのは私一人で行くわ。あなたは行かなくていいわ。」

彼女は小林綾乃のすべての幻想を断ち切りたかった。

綾乃に一片の希望も持たせてはいけない。

秋山春樹は頷いて、「はい、じゃあ私は家で本を読んでいます。」

後で綾乃が自分を見かけなかったら、きっとがっかりするだろうな?

息子が家で本を読むと聞いて、藤原巧の顔には満足げな表情が浮かんだ。

藤原巧が古本を持って階下に降りた時、山下おばあさんはすでに戻っていて、小林綾乃と話をしていた。老若二人の顔には穏やかな笑みが浮かんでおり、とても楽しそうに会話をしているのが分かった。

藤原巧は本を持ってきて、「綾乃、重さを量ってちょうだい。」

山下おばあさんは笑顔で言った:「私がやりましょう。」

しかし小林綾乃は山下おばあさんより先に地面の秤を取り上げ、「私がやります。本は少し重いので。」

「30斤です。」小林綾乃は続けて言った:「先ほどのと合わせて二十八元五角になります。」

山下おばあさんはすぐに財布からお金を数えて藤原巧に渡した。

藤原巧は山下おばあさんから渡された紙幣を受け取り、目を細めて言った:「おばあさん、今まで見かけたことないですね。」