086:恥を晒し、引っ越しの準備_8

「まさか大学入試で満点を取る人なんているのかしら?」

城井紅代は笑うだけで何も言わなかった。

高いところから落ちれば落ちるほど、痛い目に遭うものだ。

今や誰もが小林綾乃が首席になれると思っているが、彼女は小林綾乃が高みから転落する日を待っていた。

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十日が経過した。

北定区の店舗の内装もほぼ完成した。

美人亭の工場も正式に完成した!

大川素濃と小林桂代は北定区に来て、店内の内装環境を確認した。

大川勝は二人の後ろについて回りながら説明した。「姉さん、桂代お姉さん、私たちは身内だから安心してください。最高級の内装材料を使っていますよ。絶対に騙したりしませんから!」

大川勝は青葉市で小さな内装会社を経営していたが、会社が倒産寸前だった時、大川素濃と小林桂代が店舗の内装を依頼してくれた。身内だから大川勝は料金を受け取りたくなかったが、小林桂代は強く主張して支払い、一切の値引きも認めなかった。

その後、美人亭の商売が繁盛し、客も増えていった。多くの客が美人亭の内装に感心し、店員に施工会社を尋ねるようになった。そうして次第に大川勝に内装を依頼する人が増え、会社を維持できただけでなく、かなりの利益も上げることができた。

そのため大川勝は小林桂代にとても感謝していた。彼女がいなければ、この内装会社はとっくに閉店していただろう。

大川勝は誠実で実直な人柄で、小林桂代は当然彼を信頼していた。

店舗全体の内装を確認した後、小林桂代は非常に満足し、笑顔で言った。「総額はいくらですか?今晩帰ったら経理に振り込ませます。」

店舗の全ての支出は会社の経費として処理され、後で大川素濃と会計を合わせやすくなっていた。

大川勝は続けて言った。「桂代お姉さん、以前と同じ料金で、11万円振り込んでいただければ結構です。」

11万円で彼は利益が出るし、小林桂代も損はしない。

「はい。」小林桂代は頷き、続けて言った。「そうそう、勝部さん、私たちの帝苑マンションの部屋も内装工事をする予定なんです。鍵を持ってきましたので、デザイナーに時間があれば完成予想図を作ってもらえませんか。」

帝苑マンション!

この言葉を聞いて、大川勝の目が輝いた。内装の仕事をして何年も経つが、帝苑マンションの物件を手がけたことは一度もなかった。