089:やはり身分不相応!_3

彼女は田舎娘なのに、どうしてピアノが弾けるの?

いいえ。

そんなはずがない。

小林綾乃は何もできない田舎娘にすぎない。

彼女がピアノを弾けるわけがない。

たまたまの偶然だろう?

そう。

きっと偶然だ。

数秒後。

城井沙織が最後の音を弾き終えた。

パチパチパチ!

空気の中で拍手が鳴り響いた。「沙織ちゃん、素晴らしい演奏だったわ!」

「沙織ちゃんはピアノも上手だし、美人だし、将来きっと大スターになるわね。」

「...」

お世辞の言葉が次々と続き、城井沙織は口角を上げ、横目で小林綾乃を見た。

考えるまでもなく、今の小林綾乃は彼女を羨ましく思っているに違いない。

でも残念。

羨ましいだけでは手に入らないものもある。

彼女は生まれながらのお姫様、生まれながらの主役。

小林綾乃は彼女の髪の毛一本にも及ばない。

そのとき。

小林桂美はタイミングが良いと思い、小林桂代の側に行き、笑顔で言った。「お姉さん、ちょっと来て。」

小林桂代は立ち上がり、「どうしたの、桂美?」

小林桂美は笑顔で言った。「お姉さん、青葉市に来て随分経つけど、まだ私の義理の親戚とあまり知り合いじゃないでしょう?今日、紹介させてもらおうと思って。」

「いいわよ。」小林桂代は頷き、妹を見る目には喜びの色が満ちていた。

妹が以前とは違って変わったと本当に感じていた。

うん。

前より親密になったみたい。

以前なら、小林桂美が進んで城井家の親戚を紹介することなんてなかった。

小林桂美は小林桂代を桐山芝織母娘の前に連れて行き、「お姉さん、こちらが桐山おばあさんで、こちらがおばあさんの娘の桐山明晴よ。明晴姉さんって呼んでいいわ。彼女たちは生粋の青葉市民なの。」

小林桂美は最後の一文を特に強調した。

「桐山おばあさん、」小林桂代は礼儀正しく二人に挨拶した。「明晴姉さん。」

桐山芝織は小林桂代をじっくりと観察し、目を細めて「青葉市に来てどのくらい?」と尋ねた。

小林桂代は直感的にこの老婦人が付き合いにくい人だと感じたが、相手は年配者なので、依然として丁寧な態度を保ち「半年ほどです。」と答えた。

半年?

桐山芝織は気付かれないように眉をひそめた。こういう人は、たとえ青葉市で一生を過ごしても、田舎者の臭いが抜けないものだ。