089:やはり身分不相応!_3

彼女は田舎娘なのに、どうしてピアノが弾けるの?

いいえ。

そんなはずがない。

小林綾乃は何もできない田舎娘にすぎない。

彼女がピアノを弾けるわけがない。

たまたまの偶然だろう?

そう。

きっと偶然だ。

数秒後。

城井沙織が最後の音を弾き終えた。

パチパチパチ!

空気の中で拍手が鳴り響いた。「沙織ちゃん、素晴らしい演奏だったわ!」

「沙織ちゃんはピアノも上手だし、美人だし、将来きっと大スターになるわね。」

「...」

お世辞の言葉が次々と続き、城井沙織は口角を上げ、横目で小林綾乃を見た。

考えるまでもなく、今の小林綾乃は彼女を羨ましく思っているに違いない。

でも残念。

羨ましいだけでは手に入らないものもある。

彼女は生まれながらのお姫様、生まれながらの主役。

小林綾乃は彼女の髪の毛一本にも及ばない。