「ありがとう、おばさん」
小林桂美は笑いながら小林国史の頭を撫でて、「どういたしまして。果留は学校の成績はどう?」
その言葉を聞いて、小林国史はすぐにポケットからキャンディーを取り出して小林桂美に返した。「おばさん、もう食べません」
小林桂美:「...」
この小林国史は見たところ、勉強には向いていないタイプだ。
まあ、見ていればわかる。
将来きっと社会のお荷物になるだろう。
城井沙織とは比べものにならない。
そうだな。
三姉妹の子供たちの中で、城井沙織が一番出来が良いようだ。
そう思うと、小林桂美の口元が少し上がった。
しばらくして、小林桂美は大川素濃を見て、「碧、果留に習い事をさせているの?」
大川素濃は答えた:「格闘技を習わせています」
これは小林国史が自分で選んだものだった。
彼は小さい頃からこういうのが好きだった。
大川素濃は開明的な母親で、小林国史に何も強要せず、すべての習い事は彼が自分で選んでいた。
何よりも楽しさが大切だ。
母親として、息子に楽しい子供時代を過ごしてほしかった。
格闘技?
小林桂美は眉をひそめた。
格闘技なんて何の役に立つの?
社会に出てから不良と喧嘩でもするつもり?
「碧、男の子でも格闘技以外にピアノとか習わせてもいいのよ。うちの沙織は小さい頃からピアノを習っていて、情操教育にとても良いのよ」ここまで言って、小林桂美は小林桂代を見た。「綾乃にも習わせたらいいわ。今からでは少し遅いけど、何も習っていないよりはずっといいわ」
ここで小林桂美は一旦言葉を切り、笑いながら言った:「うちの沙織はもうピアノ6級なのよ。よかったら、みなさんの前で演奏してもらいましょうか?」
これを聞いて、城井家の親戚たちはすぐに賛同した:「いいわね、沙織がどれくらい上手くなったか見てみましょう」
小林桂美はすぐに城井沙織を書斎から呼び出した。
城井沙織は今日高級ブランドの服を着て、頭にはクリスタルのリボンを付けていて、まるでおとぎ話から出てきたお姫様のようだった。
彼女は出てくるなり、隅に座っている小林綾乃に気付いた。
城井沙織は目を細めた。
あの顔以外に、小林綾乃に何か誇れるものがあるの?
私はもうピアノ6級よ。
小林綾乃に何ができるの?
恥をかくことくらい?