092:謎めいた小林さん_6

この二人は全く比べものにならない。

大谷仙依が天上の仙女なら、小林綾乃は彼女の靴を持つ資格すらない。

金子亮は驚いて、「なぜ新入生にそんなに敵意を持っているの?」と聞いた。

大橋然斗は説明せずに、「とにかく、あの小林綾乃はろくな人間じゃない。彼女に期待を持たない方がいい」と言った。

大橋家と大谷家は隣同士だった。

大橋然斗と大谷仙依は一緒に育ち、そんな優秀な女の子に抵抗できる男子は少なく、大橋然斗も例外ではなかった。

彼は大谷仙依のことが大好きだった。

小林綾乃という私生児に好意を持てるはずがなかった。

特に小林綾乃が大谷仙依の18歳の成人式を台無しにしたのを目撃してからは。

大橋然斗から見れば。

小林綾乃は本当に厚かましかった。

ただの私生児のくせに、大谷仙依の前に跪いて、無理やり認めさせようとするなんて!