監視カメラは実際には壊れていなかった。
しかし、誰が監視カメラを確認しに来ても、昨夜の映像は壊れていたと言うように指示を受けたばかりだった。
志村文礼は再び検査科を訪れた。
マスクを着用し、入り口に立って、ドアをノックした。
「どうぞ。」
志村文礼は足を踏み入れた。
検査科の医師は彼を見て、「志村先生。」
志村文礼は頷いて、「あの透明な寄生虫を見に来ました。」
「こちらへどうぞ。」
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小林綾乃が家に帰ったのは十時過ぎだった。
簡単に身支度を整え、インスタントラーメンを作って食べ、学校へ行く準備をした。
渡辺麗希に午前中だけ休みの連絡を頼んでいた。
午後は授業に出なければならない。
ラーメンを食べ終わったところで、小林桂代から電話がかかってきた。「綾乃。」
「お母さん。」