結局のところ、小林綾乃のライバルは長井紫だった。
そして前副会長は青木墨だった。
この二人は、どちらも大物だった。
小林綾乃の医術は確かに優れていたが。
医学の大家と比べると...
まだまだ及ばないところがあった。
青木玉樹は会長の決定が少し性急すぎると感じていた。
会長は目を細めて、「では、恩人の小林にはどんな職務が適していると思うかね?」と尋ねた。
青木玉樹は提案した:「もし小林さんを重用されるのでしたら、まずは現場で経験を積ませるべきかと。」
段階を踏んで進めていけばいい。
もし小林綾乃が本当にそれほど優秀なら、自然と実力で皆を納得させるだろう。
会長は既に薄くなった頭を撫でながら、しばらくして「それは適切ではない」と言った。
青木玉樹は不思議そうに会長を見た。
どこが適切でないのか理解できなかった。
会長は続けた:「それでは私の恩人に申し訳が立たない。」
会長から見れば。
小林綾乃は永田徳本の生まれ変わりのようなものだった。
彼女には漢方医学協会の面々を従わせる力が十分にある。
青木玉樹も小林綾乃が普通の人間ではないことは分かっていた。普通の人間なら、会長の開頭手術なんてできるはずがない。
しかし...
漢方医学協会のメンバーたちだって、誰一人として普通の人間ではないのだ。
青木玉樹は言葉を慎重に選びながら、「会長、安田院長の話では、小林さんはかなり若いそうですが」と切り出した。
「ああ」会長は軽く頷いた。「そうだな。」
彼も安田振蔵に尋ねていた。
その時の安田振蔵の答えは十八歳だった。
会長も小林綾乃が若いことは知っていたが、まさかこれほど若いとは思っていなかった。
成人したばかりだ。
青木玉樹は続けた:「小林さんは若いですから、ストレス耐性もそれほど高くないでしょう。現場から始めるのも、一つの鍛錬になると思います。」
人は経験を重ねながら成長していくものだ。
長井紫と比べれば、小林綾乃はまだ子供同然だ。
漢方医学協会は医術を重視しているが、人間関係も重要だ。
もし小林綾乃が医術だけを知っているなら。
彼女の道のりは非常に困難なものになるだろう。
しかし十八歳の子供が、どんなに人間関係に長けていたとしても、どこまで理解できるというのか?
現場から始めれば違ってくる。