096:自ら告白_3

「ふん」渡辺麗希は冷笑した。

松本楠敬は眉を少し上げ、「信じないのか?」

「信じるわけないでしょう!」

松本楠敬はテニスボールを持ち、目を細めて小林綾乃を見つめた。「綾乃、負けても泣かないでよ!」

小林綾乃は眉を少し上げ、「控えめにした方がいいわよ」

松本楠敬はふふっと笑った。

小林綾乃の傲慢さといったら。

今日こそ小林綾乃に人としての道を教えてやる。

小林綾乃に本当のテニスの達人とはどういうものか見せてやる。

松本楠敬はボールを小林綾乃に投げ、「サーブは君からどうぞ」

「いいわ」小林綾乃は軽く手を上げ、松本楠敬が投げたボールを直接キャッチした。

松本楠敬は一瞬固まった。

さっき投げたボールはかなりの勢いだったはずだ。

あれだけの衝撃があったのに、小林綾乃はどうしてあんなに簡単にキャッチできたんだ。

もし彼の目が間違っていなければ...

小林綾乃は眉一つ動かさなかったようだ。

偶然だろう?

そうでなければ、小林綾乃にそんな力があるはずがない。

松本楠敬が考え込んでいる隙に、小林綾乃はすでにサーブを打っていた。「松本楠敬、レシーブよ」

彼女の声は淡々としていながらも力強かった。

松本楠敬は素早く反応してボールを無事に返した。

小林綾乃のサーブは絶妙なコースで、力加減も程よく、女子らしい打ち方だった。

松本楠敬は手加減する気はなく、思い切り打ち返した!

松本楠敬が小林綾乃がボールを拾いに屈むと思った瞬間、小林綾乃は一撃で返球した。

松本楠敬は軽く笑った。

小林綾乃は実力は高くないが、見せかけだけは派手だな。

しかしその後の展開は松本楠敬を呆然とさせた。

なんと!

パン!

地面に落ちるはずだったボールが、松本楠敬の方へ飛んできた。

松本楠敬は目を見開き、一瞬固まった後、すぐにジャンプしてボールを取りに行った。

しかし残念ながら。

少し遅かった。

次の瞬間、ボールは地面に落ちた。

松本楠敬は眉をしかめながら、地面からボールを拾い上げ、心の中で呟いた:「まさか!」

小林綾乃のボールを返せなかったなんて。

最初は単なる不注意だと思っていた。

しかしその後。

小林綾乃のサーブに対して、松本楠敬はまったく太刀打ちできず、すべてノーリターンだった。

小林綾乃のプレースタイルは圧倒的だった。