しばらく見ていたが、小林綾乃の姿は見えず、男子たちと一緒にバスケをすることにした。
一橋啓子のバスケの腕前はそれほど上手くはなかったが、女子と比べるとずっと良く、そのため男子たちと熱心にプレーしていた。
秋山春樹もその中にいた。
高校三年生の勉強は退屈で味気ないものだが、やっとリラックスできる時間が来て、バスケをするのがストレス解消の最高の方法だった。
みんながボールを奪い合っていた。
そのとき。
背の高い男子がボールを奪い、かなりクールなポーズでゴールに向かってシュートを放った。
バン!
しかし。
ボールはゴールに入らず、リングの端に当たって方向を変え、観客の方へ高速で飛んでいった。
おしゃべりをしていた生徒たちは全く反応できていなかった。
シュートを打った男子の顔が真っ青になった。
その瞬間。
彼は緊張のあまり「避けて!」という言葉さえ出せなかった。
その場で固まってしまった!
ボールが観客の一人に当たりそうになった時、男子は遺言まで考えていた。
そのとき。
群衆の中から一つの細い影が現れた。他の人々のパニックとは違い、彼女は手を上げて軽やかにジャンプし、その動きに合わせてスカートが少し上がり、白い細い腰が見えた。
パチン。
彼女はそのままボールをキャッチした。
とてもクールな姿勢で。
そして彼女はゴールに向かって、さっと投げた。
バン!
ボールはそのままゴールに入った。
危機は彼女によって簡単に解決された。
同時に、群衆から驚きの声が上がった。
「すげえ!かっこいい!」
「小林様、最高!」
「惚れた惚れた。」
「なんで彼女は学校の美人コンテストに出ないの?絶対投票するのに!」
「...」
シュートを打った男子も安堵の表情を見せ、ボールを受け取って小林綾乃の方へ急いで走ってきた。
一緒にプレーしていた人たちも走ってきた。
小林綾乃の側に来た時、一橋啓子はやっと気づいた、ボールをキャッチしたのが小林綾乃だったことに!
だからあんなにかっこよかったんだ!
そう思い、一橋啓子は目を見開いて、興奮して秋山春樹の袖を引っ張った。「やばい!ボールをキャッチしたのが小林美人だったなんて!」
驚いたのは一橋啓子だけではなかった。
秋山春樹も予想していなかった。