しばらく見ていたが、小林綾乃の姿は見えず、男子たちと一緒にバスケをすることにした。
一橋啓子のバスケの腕前はそれほど上手くはなかったが、女子と比べるとずっと良く、そのため男子たちと熱心にプレーしていた。
秋山春樹もその中にいた。
高校三年生の勉強は退屈で味気ないものだが、やっとリラックスできる時間が来て、バスケをするのがストレス解消の最高の方法だった。
みんながボールを奪い合っていた。
そのとき。
背の高い男子がボールを奪い、かなりクールなポーズでゴールに向かってシュートを放った。
バン!
しかし。
ボールはゴールに入らず、リングの端に当たって方向を変え、観客の方へ高速で飛んでいった。
おしゃべりをしていた生徒たちは全く反応できていなかった。
シュートを打った男子の顔が真っ青になった。