096:自ら告白_5

あんな顔で小林綾乃のLINEを求めるなんて。

小林綾乃は絶対に源良江を断るはずだ!

だって小林綾乃が好きなのは自分なんだから。

自分の方が源良江よりずっとイケメンだし。

そう考えると、秋山春樹は背筋を伸ばし、顔には自信に満ちた表情が浮かんだ。

そのとき、小林綾乃は源良江に軽く頷いて言った。「いいよ、今度私たち四人にタピオカミルクティーを奢ってね。」

タピオカミルクティー?

源良江は一瞬呆然としたが、すぐに我に返って「僕、僕が奢っていいの?」

彼は誰かにタピオカミルクティーを奢ったことなんて一度もなかった。

奢りたくないわけじゃない。

機会がなかっただけだ。

小林綾乃は眉を少し上げて「あなたが良ければね。」

「いいよいいよ」源良江は慌てて頷いた。「すごく喜んで。」

小林綾乃はスマホを取り出して「あなたが私をスキャンする?それとも私があなたをスキャンする?」

源良江もすぐにスマホを取り出して「僕、僕が君をスキャンするよ。」

ピッ!

すぐに二人は友達追加を済ませた。

秋山春樹は眉をひそめた。

小林綾乃はどうしたんだ?

彼女は自分のことが好きなはずじゃないのか?

なのになぜ源良江のLINEを追加するんだ!

何がしたいんだ?

どうして源良江のLINEを追加できるんだ!

小林綾乃は自分の気持ちを考えてくれないのか?

小林綾乃は自分も横にいるのが見えていないのか。

秋山春樹は胸の中にモヤモヤした感情を抱えていた。

どっちつかずの。

とても居心地の悪い。

彼は必死に冷静さを保とうとした。

わざとだ。

小林綾乃は絶対にわざとやっているんだ。

彼女はわざとこの場面を見せて、自分を怒らせて嫉妬させようとしているんだ。

そう思うと、秋山春樹は目を細めた。

小林綾乃は自分を甘く見すぎている!

こんなことで怒るわけないじゃないか?

小林綾乃が自分に片思いしているんだ。

自分が小林綾乃に片思いしているわけじゃない。

秋山春樹は平然とした表情を装い、何も見なかったかのように振る舞った。

彼が動揺を見せなければ、焦るのは小林綾乃の方になるはずだ。

一橋啓子が小林綾乃に挨拶に行った。「小林美人。」

一橋啓子が来るのを見て、源良江は興味深そうに聞いた。「知り合いなの?」