098:ブレイクスルー_4

普通の人にこんなチャンスがあるのだろうか?

山口は笑顔を浮かべながら、今日は本当に社交的な気分ではなかったので、二人に簡単な挨拶をしてから、「後藤副店長、コーヒーは買えましたか?」と尋ねた。

「はい、買えました」後藤淑子は包装されたコーヒーを持って頷いた。

山口は続けて言った。「買えたなら、一緒に行きましょう。歩きながら話しましょう」

「はい」

後藤淑子は小林桂美に挨拶をしてから、カフェを出た。

二人が去って間もなく、小林桂代は包装されたスイーツを持って個室から出てきた。

小林桂美は小林桂代を見て、口角を少し上げた。

なんという偶然だろう。

山口はもう帰ってしまった。

そうでなければ、小林桂代に見せてやれたのに。自分は美人亭の店長だけでなく、マネージャーとも知り合いだということを。

小林桂代のような偽善者は永遠に自分には及ばない。

自分は並ばずに美人亭の商品が買える。

一方、小林桂代は何時間も並んでも買えなかった。

これが人と人との違いだ。

小林桂代は包装されたスイーツを持って、英語の研修所に向かった。

彼女は個人レッスンを受けていた。

マンツーマンの那種。

授業開始まであと10分あったが、外国人講師のアストリッドは既に教室で待っていた。

小林桂代が来るのを見て、アストリッドは笑顔で「こんにちは、桂子さん」と言った。

「アストリッド先生、こんにちは」と言いながら、小林桂代は手に持っていた包装袋をアストリッドに渡し、「これ、先生のために特別に持ってきたスイーツです」と言った。

欧米人は甘いものが好きで、アストリッドも例外ではなかった。

彼女は様々なスイーツが大好きだった。

そのため、体型はかなりふくよかだった。

ただ、顔にそばかすがあった。

それがなければ、美人の一人だったはずだ。

これを聞いて、アストリッドは嬉しそうに「まあ、ありがとう!私が芋頭まんじゅうが好きだってどうして分かったの?」と言った。

最後に、アストリッドは小林桂代を大きく抱きしめた。

小林桂代は笑顔で「先生がよく芋頭まんじゅうを食べているのを見かけたので、きっと好きなんだろうと思いました」と答えた。

アストリッドは再び感謝の言葉を述べた。

授業開始まであと10分あったので、アストリッドは美味しそうに食べ始めた。