普通の人にこんなチャンスがあるのだろうか?
山口は笑顔を浮かべながら、今日は本当に社交的な気分ではなかったので、二人に簡単な挨拶をしてから、「後藤副店長、コーヒーは買えましたか?」と尋ねた。
「はい、買えました」後藤淑子は包装されたコーヒーを持って頷いた。
山口は続けて言った。「買えたなら、一緒に行きましょう。歩きながら話しましょう」
「はい」
後藤淑子は小林桂美に挨拶をしてから、カフェを出た。
二人が去って間もなく、小林桂代は包装されたスイーツを持って個室から出てきた。
小林桂美は小林桂代を見て、口角を少し上げた。
なんという偶然だろう。
山口はもう帰ってしまった。
そうでなければ、小林桂代に見せてやれたのに。自分は美人亭の店長だけでなく、マネージャーとも知り合いだということを。