098:ブレイクスルー_4

普通の人にこんなチャンスがあるのだろうか?

山口は笑顔を浮かべながら、今日は本当に社交的な気分ではなかったので、二人に簡単な挨拶をしてから、「後藤副店長、コーヒーは買えましたか?」と尋ねた。

「はい、買えました」後藤淑子は包装されたコーヒーを持って頷いた。

山口は続けて言った。「買えたなら、一緒に行きましょう。歩きながら話しましょう」

「はい」

後藤淑子は小林桂美に挨拶をしてから、カフェを出た。

二人が去って間もなく、小林桂代は包装されたスイーツを持って個室から出てきた。

小林桂美は小林桂代を見て、口角を少し上げた。

なんという偶然だろう。

山口はもう帰ってしまった。

そうでなければ、小林桂代に見せてやれたのに。自分は美人亭の店長だけでなく、マネージャーとも知り合いだということを。