097:賭け、優越感_7

小林桂代は首を振って、「私もよく分からないわ。綾乃の言う通りにしましょう」と言った。

どうせ移動手段に過ぎないのだから。

小林桂代は車に特別なこだわりはなかった。

大川素濃は頷いて、「うん、綾乃の言うことなら間違いないわ。さあ、乗って出発しましょうか?」

美人亭の商売は日に日に良くなり、小林桂代と大川素濃はすでに5号店と6号店を開く計画を立てていた。

5号店と6号店は、北定区から約30キロメートル離れた場所に選んだ。

店舗はほぼ決まっており、二人は今日、家主と契約の話し合いをするために行くところだった。

小林桂代は身を屈めて助手席に乗り込んだ。

すぐに車は前方の道路に消え、車の流れに溶け込んでいった。

金田コーチは横から歩み出て、習慣的に手を上げて顎に触れた。

小林桂代を迎えに来た人が運転していたのはシトロエンだった。