099:脅威_4

そうでなければ、彼がこんな辺鄙な場所に左遷されることもなかっただろう。

志村文礼は軽く嘲笑った。

大江雲斗までもが山下言野が小林綾乃を好きだと思っているなんて。

笑い話だ!

山下言野が小林綾乃に優しいのは、彼女を命の恩人だと勘違いしているからだ。山下言野が小林綾乃が命の恩人ではないと気づいたら、その時の小林綾乃はいったい何なのか?

小林綾乃はモブキャラ以下の存在にすぎない。

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土曜日。

小林綾乃は朝の6時に目が覚めた。目覚めるとすぐに身支度を整え、ジョギングに出かけた。

出かける時、まだ夢の中にいた左利も一緒に連れて行った。

左利は完全に呆然としており、小林綾乃に向かってニャーと鳴いて、しぶしぶ小林綾乃の後を追った。

すぐに。

小さな団地のランニングコースには人と猫の二つの影が加わった。