100:お香を焚く_3

この言葉を聞いて、志村文礼は目を細めた。

なるほど。

なるほど、安田振蔵がこんなに傲慢な態度を取るわけだ。

西京に転勤することになったからか。

安田振蔵は関連情報を受け取ったら必ず西京に転勤できると思っているのか?

笑わせる!

安田振蔵は自分を甘く見すぎている。

後悔させてやる。

志村文礼は神月栄邦を見て、「神月主任、安田院長に会いに来てもらえないなら、もう話し合う必要はありませんね。私は忙しいので」

言い終わると、志村文礼はアクセルを踏み、神月栄邦にテールランプだけを残した。

神月栄邦は車が消えていく方向を見つめながら、眉をひそめた。一体誰がこの大物を怒らせたのだろう?

志村文礼が来てから、ずっと病院の顔だったのに。

今や顔が失われて、山口副院長にどう説明すればいいのか?